雨天、曇天の日が続き、気分も滅入りがちですが、頑張っていきましょう。
さて、先週金融庁は、人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書を発表しました。長寿化によって会社を定年退職した後の人生が延びるため、95歳まで生きるには夫婦で約 2,000万円の金融資産の取り崩しが必要になるとの試算を示しました。
公的年金制度に頼った生活設計だけでは資金不足に陥る可能性に触れ、長期・分散型の資産運用の重要性を強調していますが、結局これは年金では老後の設計は間に合わないので、個人で早いうちから対策をという警鐘です。
平均的な収入・支出の状況から年代ごとの金融資産の変化を推計し、男性が65歳以上、女性が60歳以上の夫婦では、年金収入に頼った生活設計だと毎月約5万円の赤字。これから20年生きると 1,300万円、30年だと 2,000万円が不足するというのがその根拠です。
ファイナンシャルプランナーの見解では、全国平均でご夫婦で約 22万円/月が現在の平均年金額。必要最低生活費は全国平均で約28万円と試算されていますから、あながち5万円/月の不足というのは間違いではありません。
しかしながら、必要最低生活費というのは場所にもよります。三大都市圏、特に東京で豊かに楽しく暮らそうと思えば、ご夫婦で35万円/月必要とも言われていますから、平均年金額との差は13万円/月にもなります。
ちなみに豊かで楽しく暮らすというのは、週に1回は外食しましょう、月に1回は小旅行に行きましょう。それぞれが 3万円程度のこずかいを持ち趣味やクラブ活動をいそしみましょうというレベルです。
試算すると ▲13万円/月×12か月×20年だと、3,120万円の不足となり
▲13万円/月×12か月×30年だと、4,680万円の不足となります。
これは大変な額ですよね。
65歳時というとお子様の教育費はないと思われますが、現在の住まいをリフォームするか建替えるか、それとも住み替えるか迷われる時期。
ある程度まとまったお金が動き、終の棲家を確定する時期です。その費用を差し引き、東京では 3,000万円 ~ 5,000万円の預貯金を65歳時に形成できる人がどれだけいるのでしょうか。
今回の金融庁の警鐘は、20代から30代の人向けです。年金だけに頼らず、若いうちから長期の資産運用を検討すべきということですが、40代から50代の人からみれば、残り10年から20年で上記の資産を形成するのは無理難題です。
国は不適切な表現だったと火消しに入っています。
一歩間違うと警戒感で消費意欲がますます減少し、景気が沈滞してしまうとの理由です。
非常に大切な提言なのですが・・・