今年も早いもので、残すところ約2か月です。
コロナの感染者も急減し、経済活動再開の動きです。飲食店に対する規制も一斉解除されたのですが、飲みに行っても何となくうしろめたさがあるのは私だけでしょうか。不思議ですね。
さて、先日私のお客様がお引き渡しとなりました。
80歳のお母様と長女様の二人暮らしの家で、木造2階建ての28坪の家です。
この家には、いくつかのポイントがあるのでご紹介します。
環境としては、緩やかな傾斜地にあり、築40年超の家は玉石とブロックの擁壁に囲まれて建てられていました。その安全性が危惧されていた中で、総額2,500万円以内の平屋というのが条件でした。
高低差は2メートルあるかないか位でしたが、角地のため2面にわたる擁壁が必要で、その工事費だけで約500万円程度が必要です。
当初計画段階で、擁壁をやり直すことに予算をかけていいかが争点でした。
次に平屋の建築費の問題です。
平屋は2階建てに比べ、建築費が高くなります。
理由は、基礎面積が大きくなること、そして屋根面積も大きくなることです。
ローコスト住宅や建売住宅の基本は、1階、2階同面積の真四角の家です。仮に総2階30坪の家ならば、1階15坪、2階15坪となります。基礎面積は1階の15坪、屋根面積は2階の15坪となります。
一方、平屋は同じ延床面積30坪とすれば、基礎面積30坪、屋根面積30坪となるわけですから、建築費は基礎と屋根で2倍かかることになります。
もちろん 80歳のお母様のことを考えれば、平屋の方が安全でかつ動線も楽なので当初は平屋で計画をしました。間取りは2LDKで良かったので延床面積は 28坪程度で大屋根を利用し、小屋裏部屋を大きく取りました。
予算は当然ながらオーバーしましたが、擁壁工事は必須と決めました。
そこで考えたのが外観は変えずに、1階面積を18坪程度に減らし、大きく取った小屋裏部屋を長女様の寝室と多目的ルームの2部屋に変更することでした。つまり平屋から2階建てに変更したわけです。
基礎面積は2/3程度、当初の外観は変わりませんから屋根面積は同じ。
こうした工夫で、建築工事費を減らしたわけです。
完成お引き渡しを迎えた当日、まず思ったのが擁壁をやり替えてよかったと思いました。お施主様の思いも同じでした。
やはり家というのは安全・安心の上に成り立つものです。
次に外観がとても素敵だったこと。
一見平屋に見える家は、建売住宅とは違い注文住宅の風格がただよっていました。