相続解決事例10 三男が法定相続分の譲渡を申し出ています。金額等はどうなりますか?

相談三男が法定相続分の譲渡を申し出ています。金額等はどうなりますか?

昨年、父が亡くなったため、家族内で遺産分割協議をしております。法定相続人は、母と私(長男)、次男および三男の4人ですが、次男のみ反対的な意見であるため、遺産分割協議が一向に進みません。面倒が苦手な三男が「相続放棄」することを考えたようなのですが、既に相続放棄の期間が経過していること、また全く権利を放棄してしまうことになることから、長男である私に対して「法定相続分の譲渡」をしたいと申し出がありました。

相続財産は自宅の不動産と現預金ですが、不動産の価値が大きいため財産の大部分が不動産となります。この場合、不動産の相続税評価額のうち、三男の法定相続分の金額で私が買い取ることになるのでしょうか。

解決案

法定相続分の譲渡にあたっては、必ずしも有償である必要はありませんので、まずは三男の方との話し合いにより、有償か無償か、決めていただく必要があるでしょう。

仮に有償となった場合でも、本来は未分割である相続財産全体(不動産と現預金)に対する法定相続分を譲渡するわけですから、実務的には、全体の相続財産のうち、三男の方の法定相続分の価値をお互い理解しながら、その譲渡が無償なのか、有償であればどの程度の金額とするのかを、決めていただければと思います。

  • ポイント1有償の対価が現金でない場合、譲渡所得税が発生します

    有償の対価が現金でなく、不動産や有価証券などご相談者様固有の財産にする場合は、ご相談者様がいったん三男の方に、時価で売却したものとみなして、譲渡所得税が生じることとなりますので、ご注意ください。

    このような取り扱いは代償分割と同様と考えられます。代償分割とは、遺産の分割に当たって、特定の相続人が財産を相続する代わりに、他の共同相続人などに対して債務(金銭の支払いなど)を負担するものです。財産の1つ1つを誰が取得するのか決める現物分割が困難な場合に行われる方法です。

    法定相続分の譲渡を有償で行う場合には、税務上は代償分割と同様の取り扱いが行われます。
    (民法上では、代償分割と法定相続分の譲渡は区別して理解されます)

  • ポイント2無償の場合は、贈与税や相続税の問題は生じません

    この場合は「遺産分割協議の結果、三男は何も相続しなかった」ものと同様に考えられますので、贈与税や相続税の問題は生じません。

    ただし、これらの取り扱いがされるのはあくまでも法定相続人間でのケースです。法定相続人でない自分の子(被相続人にとっての孫)や、第三者に譲渡するということであれば、それが有償であれば譲渡した側に譲渡所得税が、無償であれば譲渡された側に、贈与税が課税されることとなります。

専門家のアドバイス

専門家のアドバイス

法定相続分の譲渡があったといっても、その遺産相続について未分割である状態は変わりませんので、遺産分割協議が確定していることが条件となる「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」は、受けることができませんので、ご注意ください。

なお、土地のみを買い取りの対象として計算することも、後々のトラブルの原因にもなりかねませんのでご注意いただければと思います。


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