お客様の声 神奈川県川崎市 N様邸

吹き抜けになっているキッチンスペースは、2階部分に床を張れる構造にしてあり、将来子供部屋など拡張して使えるように工夫されている。
ものごとにはすべて「縁がある」ことを実感する家づくりがある。
どういう巡り合わせか、大好きな一軒家に住むことになる縁があり、自分の思い描いていたその空間をカタチにしてくれる人々との縁もあった。そのたくさんの縁で生まれた家づくりを紐解いてみた。

取材/金瀬 ちゆき
撮影・文/田原 直
■この土地と出逢えてはじまった家づくり。

N様が19歳の時の住まい探しがそもそもの始まりかもしれない。大学の学生課で探したアパートの斡旋リストの中に、一軒家の借家があった。興味が湧いてさっそく下見して、「昭和の香りのする小さいながらも庭付きの家がすっかり気に入ってしまったんです」とN様。そこを即断で決めてから月日が流れ16、7年経った頃、そのお借りしていた大家さんがご高齢になったこともあり空け渡すことになった。近くに住みたいと不動産屋さんを訪れて、そこで一軒家の物件があるかどうかを駄目もとで訊いてみる。なんと入ったばかりという物件があり、どうですかと紹介されたのが今のこの土地で、更地になっていた。

ちょっと入り組んでいる48坪の土地。さっそくN様は見に行き、これも縁だと感じ、即決で買うことを決定された。
土地を手に入れ、家を建てることになったN様は、とことん自分の理想を盛り込んだものにすると決心する。

■黒い焼き杉をまとった武家屋敷の佇まいの家をつくりたかった。

東北の小京都といえば、秋田県の角館(かくのだて)。春になると武家屋敷と桜のコントラストを求めてたくさんの観光客が訪れる。

自分の家をどうするかを考えた時に真っ先に浮かんできたのは、その角館。すっかり魅了されたN様の心に強烈に残ったその武家屋敷と桜だった。このコントラストをなんとかカタチにしたい。そしてもうひとつは、大好きなコンクリート打ちっ放しのRC構造にすること。

自分の想い描く家を建ててみたい。その一心で訪れたのが、ビッグサイトでちょうど開催されていた注文住宅EXPO2012だった。そこで出逢ったのがネクスト・アイズの小野氏。その場で決断し、コンサルタントをお願いすることになる。やはりこれも縁だったとN様は想う。ふと目の前に現れる人の縁は、何かに導かれているかのように不思議だ。

「N様の家づくりの場合、いきなり工務店では無理があって、きちんと設計の先生の力が不可欠だったんです」と小野氏。設計事務所を3社紹介してコンペで設計プランを出してもらうことになり、家づくりが本格的に始まった。

リビングルーム
1.障子を開け放つと、まるでステージのような空間が拡がる。これからの人生の舞台として申し分のないリビングルームとなった。
2.空間を遮らない構造のステップが斬新。無垢材の踏み板が足に優しい。
3.このオープンキッチンで今年の正月はおせち料理に挑戦した。清潔と機能性の優れた本格的キッチン。

■みんなを呼べる家でもあり、自分を見つめる家でもありたい。

「きちんと棺桶の入る家にしたかったんです」と訪れる人にN様は必ず打ち明ける。棺桶という言葉に誰もが驚いてしまうが、この言葉はN様の家づくりの根幹なのかもしれない。人生の最後に自分の家に棺桶が入らないアパート住まいをする人生だけは送りたくない。生き方そのものが家のカタチを決めていくことに気づかされる。

それを最も感じさせる部屋がN邸にある。部屋と言うより「はなれ」という方が正しい。安藤忠雄氏の「住吉の長屋」を彷彿とさせる2階ベランダにつくられた個室スペース。「住むことは闘いである」という安藤氏の言葉のように、雨の日は傘を差さなくてはいけない不便さを敢えて強要する独立した4. 3畳ほどの「はなれ」だ。何も置かない間接照明で満たされた小宇宙に坐っていると、母親の胎内にいるような懐かしい安堵感に包まれる。

なによりN邸の素晴らしさは、天井高く広々としたリビングルームだ。床暖房が施された濃いめの色のフローリングと、打ちっ放しコンクリートの壁がうまく調和して、ずっと坐っていたい居心地の良い空間になっている。親しい人を呼んで談笑するも良し、ひとりのゆったりした時間を過ごすのも素敵だ。話声が実に柔らかく響いて、カフェとして使いたくなるような空間になっている。

渡り廊下
4.雨の日は傘が必要な渡り廊下。ここを抜けて「はなれ」に向かうN様は、どこか嬉しそうだ。
5.特注の障子は、二重構造にすることで、遮音性、断熱性が高くリビングの暖まった空気を逃がさない。外光をソフトにおさえて、明るさも確保している。
6.アプローチから玄関の引き戸を開けると眼に飛び込んでくるのは細長い土間。庭とリビングを結ぶこの土間の空間が暮らしの楽しさを支えている。
7.「 はなれ」に遊ぶ。そこは俗世間から隔離された小宇宙だ。
8.この天井が斜めのお洒落なスペースは、当初設計に無かったという。多目的に使えるスペースとして、車庫の真上のベランダにつくられた孤立した空間になっている。
9.屋上に3畳ほどのベランダがある。ここは実は最初に設計には無かったが、花火を見たいというN様の希望で実現した。

■家づくりそのものがライフワークになった。

N様の自由奔放な希望をできる限り受け止めてカタチにしていったのは、3社の設計会社のコンペを通してご縁があった小澤先生。何度も要望を出し、それに応え、100あまりの設計図ができあがる。N様の求める住まいに対するビジョンが明快だったことが、建築家小澤先生の創造意欲を一層刺激して、ほかに例を見ない見事な答えを引き出したと言えるだろう。

「設計の先生と家づくりをする場合、期間は最低でも1年半ほどかかります。設計の先生と事細かにそれこそキッチンに使う器具とかも施主さんと選びに行ったりして決めていきますから、克明なたくさんのできあがった設計図に従って工事する工務店は、同じ仕様での見積りになります。コンサルタントとして3社ほど工務店を選び、そこから施主さんが選択するという段取りです」と小野氏。「本当は毎日工事しているのを見ていたいのですが勤めがありますから、どうしても土、日しか時間が無かったのが残念でした」と語るN様。

工事中のある土曜日のこと、リビングの特注の障子を施工している左官さんに、「面倒なことになって、すみません」とN様が声を掛けたら、「いえいえ、自分の技術がどこまで通用するのか挑戦できるこういう工事は本当にありがたいんです」という声が返ってきて嬉しかったという。楽しく充実した家づくりの1年半だった。引き渡しの後も日曜大工でクーラーの室外機カバーや庭造りなどに打ち込むN様、家づくりそのものがライフワークになっている。

2階部分は寝室専用のベランダ
10.焼き杉の外壁の内側には外断熱が施されている。2階部分は寝室専用のベランダが広く採ってあり、朝の清々しい外気を味わえる。
11.リビングルームで語るN様(中央)と小野氏(右)と金瀬女史(左)。
12.帰ってきて玄関まで辿り着く間に、世間の雑念を消してくれるように感じる長いアプローチが素敵だ。正面が自動ドア付きの駐車スペースになっている。
13.日曜大工ですと謙遜するN様がつくった室外機カバー。クオリティが高いできあがりだ。
自分の希望に応えた家づくりを叶えるために必要だったのは、こうしたいという強い想いを貫く信念だった。そして家をつくるということは、自分を知ることに等しいことをN邸は教えてくれる。アプローチに植えられた桜の若木がしっかり根付いて、たくさんの花を付けるようになった時、このN邸は完成する。
物件概要
物件名 神奈川県川崎市多摩区 N様邸
家族構成 おひとり
延床面積 45.63坪 (150.84m2
構造工法 木造+RC造
施工 中鉢建設
住宅コンサルタント 小野信一  (ネクスト・アイズ株式会社)
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