不動産相続（相続対策・賃貸経営・不動産売却・空き家売却）・不動産コンサルティングはネクスト・アイズ：東京都港区

ご両親のお住まいになっていた家を解体して更地にした翌年、知らぬ間に根付いたムラサキハナナ（花大根）が見事な花をつけた。通りかかる人々が誰しも思わず足を止めるほどの見事なお花畑。近所の幼い姉妹が、むらさき色に染まったその空き地で飛び跳ねる情景は、天使のようで思わず声をあげてしまうほど素敵だったそうで「そのときの写真が無いのが残念」とＭ様の奥様は言う。

人は選択肢がありすぎると却って最適解にたどり着かないものらしい。どう引き継ぐのが良いのかの様々なシミュレーションをしていたＭ様ご夫妻だったが、いろいろ考え巡らせているうちに、３年ほどの月日が流れていた。
　
やはり専門家に相談するしかないと決断されたM様は、懇意にしている方に相談された。そして住まいのコンサルタント、ネクスト・アイズの小野氏と出会う。

「本当に良い出会いをさせてもらいました」とＭ様。この場所に賃貸住宅が建つまで、「素晴らしい人ばっかり」と奥様は満面の笑みを浮かべた。
小野氏が選んだ３社のハウスメーカーからＭ様が選んだのは三井ホーム。その担当者も実に愛すべき人柄だったそうで、「いつもゆったりして、いい感じなの」と奥様。穏やかな担当者とのコミュニケーションが実に心良く楽しいもので、幸せな建築だったと振り返った。

Ｍ様のご要望は、
・建築することが相続対策にもなる土地の有効活用であること。
・現在すでに住んでいる住居部分はできる限り売りたくない。
・ご長女にも平等に土地を残したい。（お子様はご長男とご長女の二人）
・自宅をきれいにしたい。
・多くのローンは抱えたくない。
・建設メーカーにお願いをしたい。
といったものだった。

そこで、「今回のＭ様のコンサルティングでは、まず２つの選択肢を考えました」と小野氏。Ａプランは３階建ての鉄筋造りの賃貸併用住宅。Ｂプランは２階建て木造賃貸住宅のみを建築するという２択をご提案した。

それにより「方向性がはっきりして先が見えてきました」とＭ様。これから先の負担のリスクなど考慮して、Ｂプランを選択された。

1.右が完成した賃貸住宅。一軒家にしか見えないデザインを実現。左はオーナー宅で築３０年になるがその当時の新素材を使用した造りで、未だに新しく斬新だ。山下和正氏設計。

心に永く秘めていたことを、あるとき吐露する。それが一気に形になって実現していく幸せがある。

Ｂプランに添って、プロジェクトが動き出していたある日、突然ご主人が「賃貸の部屋を全部貸さずに、アトリエとして少し僕が使いたいのですけど可能ですか」と小野氏に相談した。今まで大事なことは奥様にいつも相談して物事が進んでいたのに、いきなりの提案には奥様も驚かれたそうだ。

「返済のシミュレーションもしてみましたが、なんとかなりますよ」と小野氏。Ｂプランに楽しい新たな方向性が生まれた。
本来８部屋貸すことができる中の１階の２部屋をアトリエに充てることになった。

そしてＭ様は是非とも実現してもらいたい要望として「いかにも賃貸住宅というデザインにはしないで、おしゃれな一軒家に見える賃貸住宅にしてほしい」とお願いした。

2.上下階のドアを並べたことで、おしゃれなエントランスになった。
3・4.階段を外につけず隠すことにより、賃貸と思えない外観をつくり出した。外階段をつくらないことで、母屋への視線もうまく消すことができた。

まさに希望通りのおしゃれな賃貸住宅が建ちあがった。
そしてアトリエをプラスしたのは素晴らしいことだったと奥様は微笑む。

ご主人は絵を飾るのが好きで、アトリエはギャラリーのようなスペースになっている。
将来子供さんたちが引き継いだ時は、間仕切りを壁に直して賃貸用に戻せる工夫もされている。
お友達も気軽によべる談話室であり、ときに応接間、たまには隠れ家であったり、「何かの時には臨時宿泊所として使ってもらえるでしょ」と奥様が一番気に入っているようだ。

人は何かを残し、次にバトンタッチして行く。引き継いでいくものが多ければ多いほど重労働になる。
しっかり受け継いでいくためには、智恵と勇気が必要なのかもしれない。

5.アトリエは、壁で仕切ることで、必要になったら2軒分の賃貸住居に戻せる仕組みだ。
6.キッチン、トイレ、バスルームは賃貸の1軒分だけを残し、スペースを確保した。
7.Ｍ様ご夫妻とネクスト・アイズの小野氏。
8.「ここは本当に贅沢な空間なんです」と奥様。人が集いやすいように土足であがれるようにした。