12月も半ばです。コロナ明けということもあり、今年は忘年会や納会が活発に行われています。気が付けばあと2週間でクリスマス、年末と過ぎ、新年を迎えます。本当に時間が早すぎますね。
さて、この1年の住宅・不動産の市況を振り返ってみましょう。まずは、市況を振り返る前に、消費者動向です。
【住宅・不動産の市況】消費者動向
全体的には、4月の春闘での平均値上げ率は3.58%と30年ぶりの高水準。消費者物価指数も全体では3.0%前後と、政府が目指す“悪いインフレ”から“良いインフレ”へ移行したかのようでした。
しかし、実際は電気・ガスなどのエネルギー価格やガソリン、食料品などは10%以上の物価高となり、3.58%程度の賃金上昇では一般消費者にとっては逆にマイナスとなり、いわゆる実質賃金の低下が生まれ、消費者は消費を控え、経済活動は停滞する結果となっています。
住宅業界では、2年前からのウッドショック、ウクライナ情勢の悪化による流通の不安定、そして今回の円安による輸入高により、異常なほどの建築資材の高騰が生まれ、特に注文住宅は前年比22か月連続減少となりました。
この建築資材の高騰は、不動産業界にも派生し、建売業者は採算が合わず、大幅な値引きや、土地のみの販売へ変更し、膨れ上がる在庫を処分しています。こうして停滞していた住宅業界、不動産業界ですが少しずつ改善の兆しが見えてきています。
東日本不動産流通機構の「月例マーケットウォッチ」の動向調査
東日本不動産流通機構の「月例マーケットウォッチ」の動向調査によると9月の土地(100m2~200m2)の成約件数は、7月から3か月連続で増加、中古マンションの成約件数も4か月連続で増加、新築戸建ては5か月連続で前年比増加しています。
昨年からの物価上昇ですが、一般消費者の家計に直接影響するガソリン、電気・ガス、食料品等の価格が落ち着きを取り戻してきたことと、夏のボーナス支給を境に、消費者にもインフレが広く受け入れられ、慣れてきたことが原因だと思われます。
また、不動産の価格も上昇したのは一時的なものではなく、これ以上待っても下がらないと理解したことや、建売業者が在庫処分で値引きしたことにより、価格も受け入れはじめてきたことが成約件数の増加につながりました。
一方、注文住宅だけは、上がり過ぎた建築費と住宅ローンの金利上昇、実質賃金の低下から、回復の見込みが立ちません。今後はハウスメーカーの再編や工務店の倒産なども出てくるでしょう。
円安、株価上昇により国内外の富裕層により、都心の投機的不動産は活況。一般の消費者は、停滞気味でしたが回復傾向に向かっています。