築40年越えの賃貸併用住宅の建替えを検討
72歳の女性からのご相談。ご主人と2人暮らしで賃貸併用住宅に住んでいるが、木造建築2階建てで築年数が45年経過しているため経年劣化により雨漏りもあり、賃借人からも給湯器交換やエアコン故障の修理などの対応を求められることも多くなってきた。
先月1世帯が退去したため残り12世帯の立ち退きはあるが、建て替えを検討してもよいのではないかと思っている。
所有者はご主人様と奥様ご本人の共有名義。相続人は娘1人であることから将来的には娘が当不動産を相続することが決まっている。
どこから始めたらよいのか、どの部分を今後相談すべきかもわからない状況。全面的にアドバイスをしてほしい。
- <物件概要>
- 木造2階建て築45年 賃貸併用住宅
- 賃貸状況:13戸中1戸が空室
- 土地:58坪
- 建蔽率・容積率:60%・160%・一種住居地域

敷地の都市計画を確認
市場調査を行い将来性も加味した人気のある大きさや間取りを理解することから始める。
その結果、単身向けの1Kでも問題はないが近隣に競合物件が多数あるため1LDKの方が差別化を図れると考えられる。

自宅部分の希望の大きさや間取り・将来的な娘様家族の意向も確認
自宅部分はご夫婦2人で住まうため大きさは55㎡(16.5坪)程度で2LDKを確保してほしいという希望。
また娘夫婦はマンションを所有しており利便性もよいことから当不動産へ移住する可能性は低いことが分かった。

賃貸計画における規模を確認
各工法の資金計画書を提出。以下2パターンの事業計画書を作成し比べていただいた。
Aパターン:収益性を重んじるのであれば容積率の制限まで3階建てを検討し収益率アップを図る計画。
Bパターン→大きく資金を掛けたくないのであれば自宅+賃貸世帯数を適度な大きさに収め2階建てとすることで建築費を抑える計画。

娘様が計画に関わるか、また賃貸経営を将来的には引き継ぐ意志があるかを確認
娘様は計画自体には携わらずに進めていき最終段階での説明を求めていることがわかった。リスクヘッジができるような事業であれば引き継ぐ意志があることも確認できた。
賃貸併用住宅の計画を4社の住宅メーカーで比較・検討
相談者の敷地要件が賃貸には適しているため賃貸事業は成功する要件を満たしている。問題は施主が高齢であることから計画の規模をどのようにするかということであった。
相続人であるお嬢様が建て替えするということを了承してくれており、この敷地の性質も理解していることから賃貸併用住宅を計画することの障壁がなくなった。
そこで住宅メーカー中心に鉄骨3階建てで2社、木造2階建てで2社の計4社をご紹介させていただいたが、単身向け40㎡程度の1LDK賃貸を3戸と自宅60㎡の併用住宅を長屋形式でご提案した木造メーカーの図面と事業計画書が無駄なく事業収支も良かったため、この住宅メーカーで進めることになった。

事業計画の結果
ご計画総金額11,000万円の内の2,000万円を自己資金から捻出。残りの9,000万円を借り入れで賄うことにした。想定家賃は満室時月々510,000円、空室リスクを避けるため一括借り上げ形式(サブリース)を採用。毎月の返済額は275,000円。
管理費、固定資産税などを差し引いても年間2,000,000円弱の収益が手に残ることが見込まれ安定的な収支計画を得ることができる。

コンサルティング結果
ご夫婦の老後について、自己資金は捻出しての計画だが老後資金として5,000万円程度の金融資産を有し、心配がないことも確認できました。それを踏まえて、娘様にも全体の資金計画をお伝えすることで滞りなく計画を進行することができました。
また借入することによって負債を増やし総資産額の評価を下げることができ相続の生前対策に有効である点もしっかりとご説明することで安心いただけました。
最後に残っている1世帯の賃借人に対してもオーナー(相談者)自らがお話をして立ち退きも問題なく終了することができ、建替えを進めています。

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