東京23区で相続税を抑える不動産活用とは?世田谷・目黒の賃貸経営による節税術と家族別対策

東京都内でも特に資産価値が高い世田谷区・目黒区。これらのエリアに不動産を所有している方にとって、将来の相続税は避けて通れない課題です。
そこで注目されているのが、不動産を活用した節税対策、とりわけ賃貸経営による評価減です。本コラムでは、賃貸経営がなぜ節税につながるのかを解説し、家族構成や保有資産に応じた対策事例も紹介します。
なぜ東京の不動産は相続税対策に有効なのか?
東京23区の中でも地価が高く、特に世田谷・目黒では土地の評価額も高額になりがちです。相続税は不動産の「相続税評価額」を基準に課税されますが、この評価額は市場での売買価格(時価)よりも一般的に低く設定されます。

たとえば、時価で1億円の土地があった場合、相続税評価額は7,000万円程度となるケースもあります。さらに、この土地に賃貸物件を建てた場合、評価額が貸家建付地としてさらに減額され、5,000万円程度に下がることもあります。
これにより、相続税がかかる基準そのものが大きく抑えられるため、現金や株式を相続するよりも節税効果が高くなるのです。
こうした仕組みによって、相続財産の一部または全部を不動産として所有・活用することで、賢く節税を行うことが可能になります。
世田谷区・目黒区・港区でよく見られる3つの不動産活用法
家族構成や保有不動産の状況によって、有効な相続対策は異なります。
ここでは、東京都内(世田谷・目黒・港区)でよく見られる3つの家族パターンと、それぞれに合った不動産活用による節税手法を具体的にご紹介します。
case1 夫婦2人暮らし、世田谷区に自宅と隣接する敷地(現在は駐車場または空き家)を所有
世田谷で自宅以外に土地を所有している場合の対策は? 課題:自宅の隣にある土地を現在は駐車場または空き家として放置しており、資産として有効活用できていない。現金は少なく、将来の相続税が不安。
対策:
- 現在の空き家・駐車場部分にアパートを新築し、「貸家建付地」として評価額を圧縮
- 建物も賃貸用とすることで「貸家評価減」が適用され、土地・建物ともに節税対象に
- 小規模宅地等の特例(貸付事業用地)を組み合わせることで、200㎡まで土地評価を最大50%減額
- 毎月の賃料収入を得ながら、将来の納税資金の準備も可能に
ポイント:
- 都内の駐車場や空き家は「使っていないだけで高評価のまま」になっているケースが多い
- アパートを建築し賃貸に出すことで、土地の評価額を大きく引き下げられる
- 相続後に賃貸活用するよりも「生前に実行」しておくことで節税インパクトは格段に大きくなる
※2027年1月1日より貸付用不動産の評価方法が厳格化されるので注意
case2 目黒区に築40年の賃貸マンションを持つ独居の父親(60代)
目黒区に老朽化した賃貸マンションを所有している場合は? 課題:建物は老朽化。相続人は1人娘で賃貸管理の経験がない。
対策:
- 生前に不動産を法人化し、娘を役員にして運営体制を整備
- 法人株式の評価で相続税額を抑制しつつ、管理の引き継ぎもスムーズ
- 家族信託も併用し、認知症リスクや将来の資金管理にも備える
ポイント:
- 管理・運営の負担が相続人にのしかかることを避けるには「法人化」が有効
- 家族信託と組み合わせることで認知症対策もカバーできる
- 高齢者単独所有の不動産は、早めの移行設計が重要
case3 港区に複数のマンション・戸建てを持つ資産家。子どもは3人
港区に不動産を複数所有している場合は? 課題:財産をどう分けるか。共有相続による将来的なトラブルが不安。
対策:
- 評価の低い築古物件を売却、または建替え・法人化して管理を一元化
- 子どもごとに法人株式や不動産を分散して相続できる体制を設計
- 家族信託+法人+生命保険などで分配設計を補強
ポイント:
- 「不動産は分けにくい」問題を解消するには、事前の分割設計が必須
- 兄弟姉妹間の不公平感を避けるためにも、形を変える(株式・信託)工夫が有効
- 都心部の不動産は分筆困難なことも多いため、法人や信託を活用した“見えない分割”が有効
不動産の活用は、資産の種類や立地だけでなく、「家族構成」や「誰が継ぐのか」によって正解が変わります。
相続の場面で揉めないように、そして最大限の節税を実現するためにも、自分の家庭にあった“オーダーメイドの相続対策”を設計することが重要です。
「自分の家族に合う対策を知りたい!」という方はコンサルタントへ相談してみてはどうでしょうか。
節税につながる不動産活用の基本3パターン
不動産を活用した相続税対策には、いくつかの“王道パターン”があります。特に東京23区内のような地価が高い地域では、評価額をどう抑えるかが相続税額に直結します。
ここでは、多くの方が実践している3つの制度・仕組みについて、その効果と注意点を含めてご紹介します。

パターン①:小規模宅地等の特例
相続人が自宅や事業用地を引き継ぐ場合に、一定の要件を満たすことで相続税評価額を最大80%減額できる制度です。都内のような高地価エリアでは、適用されるかどうかで相続税が数千万円単位で変わることもあります。
活用例:
| 1.世田谷にある親の自宅を同居して引き継ぐ(330㎡未満) | 自宅用地の評価80%減 |
| 2.アパート用地を引き継ぎ賃貸事業を継続 | 貸付事業用地として評価50%減 |
注意点:
被相続人の居住・所有期間や相続人の同居・事業継続などの条件を満たす必要があります。条件を満たさないと適用されず、思わぬ納税負担になることもあるため、事前準備が重要です。
パターン②:貸家建付地による評価減(賃貸住宅の建築)
土地の上に建てられた建物が「貸家(他人に賃貸されている)」である場合、その土地は「貸家建付地」として通常の自用地より評価額が減額されます。
活用例:
| 1.空き地にアパートを建てて入居者を募集 | 土地評価が20〜30%減額 |
| 2.賃貸併用住宅として一部を貸す | 一部評価減が可能に |
補足ポイント:
建築だけでは評価減は適用されず、「実際に賃貸されている」状態が必要です。建築してすぐに亡くなった場合などでも、入居者がいれば評価減が適用されるケースあり。
パターン②:不動産法人化による資産分散・評価圧縮
収益不動産を法人(不動産管理会社など)に移転しておくことで、相続時の評価対象が「不動産」から「非上場株式」に変わり、総資産の評価を圧縮できる場合があります。
活用例:
| 1.目黒区で築年数の経った賃貸マンションを法人に移転 | 株式評価額で相続税が圧縮 |
| 2.法人の役員が子どもの場合 | 将来の運営・承継もスムーズに |
補足ポイント:
株式評価に切り替わることで、「類似業種比準法」「純資産価額法」など別のルールが適用されます。
法人化のタイミングや不動産の価値、他資産との兼ね合いで効果が変わるため、税理士の判断が不可欠です。
これらの制度は単独で使うだけでなく、組み合わせて使うことで相乗的に効果を発揮します。
どの制度が使えるかは、家族構成や保有資産、地域の相場、相続のタイミングによって異なるため、「今の状況で何ができるか」を早めに整理するためにも専門家に相談することも大切です。
2つの成功事例から不動産の専門家を活用することの重要性
相続税対策として不動産をどう活用すればよいのか――。
制度の知識だけでは、自分の家族にどう当てはめればいいか分からないという声は少なくありません。 そこで、実際にネクスト・アイズとして【世田谷・目黒・港区】といった東京23区内で不動産を所有するご家庭に、どのように節税対策を行ったのかを具体的にご紹介します。

どれも「相続税をできるだけ抑えたい」「子どもに迷惑をかけたくない」と考える方が、専門家と一緒に設計した実例です。ご自身のケースに似た状況があれば、ぜひ参考にしてみてください。
事例1:4億超の大規模案から転換 将来の分筆・売却も見据えて賃貸併用住宅を建替えたケース
約400坪の敷地には、敷地内には自宅と、築45年を経過した老朽アパートがあり、リノベーションか建替えか、将来を見据えた利活用も検討したいというご相談でした。
| 家族構成 | 50歳のご夫妻 |
| 所有資産 | 築45年を経過した自宅+賃貸(400坪) |
| 課題 | 今後30年ほど安心して暮らすための利活用を検討しているが、他社からの提案内容4億の妥当性 |
対策:
- 大規模提案の収支を客観検証
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5階建・延床900㎡・建築費4億超の提案について収支計画を作成し、空室リスクや資金負担を検証。
「20年後も安心できるか」という視点から、規模過大である可能性を整理しました。 - リノベーションと建替えを比較検討
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市場調査を実施し、2LDK・約50㎡が適正と判断。
供給過多のエリア特性を踏まえ、差別化できる規模・仕様を前提に両案を比較しました。 - 無理のない規模へ再設計
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RC3~4階建てなど複数案で収支を作成し、建築費1.5~1.8億・賃貸4戸の現実的な規模へ最適化。
自宅のプライバシーも確保した配置計画としました。
- 老後資金まで見据えた長期収支設計
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ローン返済・税金・管理費等を差し引いても手残りが出る計画に調整。
20年後・30年後の生活不安が生じない事業設計としました。
- 将来の分筆・売却を想定した土地設計
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自宅棟と賃貸棟の配置を分筆しやすい形で計画。
将来の一部売却や用途変更にも対応できる柔軟な土地活用案としました。
単なる建替えではなく、「相続評価」「収益性」「承継のしやすさ」を同時に設計したことが大きなポイントでした。
・「大きく建てれば良い」とは限らず、20~30年後の生活・リスク許容度から逆算した規模が重要
・収支計画は“単年の利回り”ではなく、ローン・税金・管理・修繕まで含めた長期視点で検証する
・相続対策は税だけでなく、分筆・売却・承継のしやすさまで含めて設計すると、将来の選択肢が広がる
規模の大きさを追うのではなく、相続を見据えた将来の選択肢を残しながら“身の丈に合った計画”へ再設計したことが、この事例の最大のポイントです。
事例2:目黒区での法人設立+管理委託
高齢の親が所有する不動産を法人化。将来の承継と納税資金の確保を同時に実現したケース。
| 家族構成 | 0代母(単身)+40代長女家族 |
| 所有資産 | 築38年の鉄筋コンクリート造マンション(8戸) |
| 課題 | 建物は老朽化しているが、目黒区の一等地にあり評価が高い。娘が相続後に賃貸管理できるか不安。 |
対策:
・生前に不動産管理法人を設立し、マンションを法人へ売却(等価)
・父を代表取締役、娘を副社長にして徐々に引き継ぎ開始
・相続時には不動産ではなく「非上場株式」として評価
・法人資産の一部を退職金・保険に充て、納税資金の工面も準備済み
不動産のまま相続するよりも、評価額を約3割圧縮。娘の心理的負担も減り、将来的な事業承継がスムーズに。
・高齢の親が所有している築古物件は“承継設計”が必要
・法人化によって節税だけでなく、運営・納税・承継まで一貫した準備が可能
注意点と専門家の活用

先に紹介した事例に共通するのは、「生前に動いた人ほど得をしている」という点です。不動産の評価は固定されたものではなく、「どう使っているか」で大きく変わります。
また、不動産を使った節税対策は一歩間違えると、逆に税負担が増えるリスクもあります。
例えば、賃貸経営を子が継げない場合や、収益性が低い物件を建ててしまうと問題になります。そのため、税理士・建築士・不動産コンサルタントなどの専門家と連携し、事前に綿密なシミュレーションを行うことが不可欠です。
東京都内、特に地価の高いエリアで不動産を所有している方は、ぜひ早めの対策を検討するためにも、不動産コンサルタントへのご相談されるのはいかがでしょうか。
相続税を抑える不動産の活用方法は早めにコンサルタントへ相談
注意点|節税目的だけの不動産活用はリスクも
相続税対策として注目される不動産活用ですが、「節税できるから」と安易に進めるのは禁物です。
本来の目的は、家族にとって無理のない資産承継を実現すること。
節税効果だけを追い求めてしまうと、将来的なトラブルや経済的な負担を生む可能性もあります。

納税資金が準備できず、かえって困るケースも
評価額は下がっても、実際の納税資金が確保できていないと意味がありません。
賃貸物件を建てても、空室や修繕費がかさみ、思ったより現金が残らない…という失敗事例も。
利回りが見合わない賃貸経営のリスク
都心部とはいえ、建築費と家賃相場のバランスが取れていないと、節税効果以上に赤字が膨らむことも。
節税だけを目的にした無理な新築は、家族に負債を残す結果になりかねません。
子が不動産を引き継げないパターンにも注意
相続人が不動産管理に関心がなかったり、将来的に海外に住む予定があるなど、引き継ぐ意思や体制がない場合は慎重な判断が必要です。
こうしたケースでは、家族信託や売却も含めた選択肢を事前に検討しておくことが重要です。
「本当に活用できるのか?」「家族が困らないか?」という視点で、一歩引いて全体を見渡すことが成功への近道です。
不動産を活用した相続対策には、ここで紹介したようなリスクも多く潜んでいます。
だからこそ、最初から冷静かつ多角的に判断できる体制――つまり、専門家の伴走支援が欠かせません。
不動産を活用した相続対策は「専門家の伴走」が鍵
相続と不動産――この2つが重なると、制度も手続きも格段に複雑になります。
それを“独学”や“知人のアドバイス”で乗り切ろうとすると、見落としや誤判断につながることも珍しくありません。
特に以下のような点で、専門家からの支援が大きな差を生みます。

税務・不動産・建築の総合判断が求められる
たとえば、「アパートを建てたら節税になる」という話。
一見魅力的ですが、立地や規模、収支計画、建築費、評価減の仕組みを正確に押さえなければ、本当に得かどうかは判断できません。
税理士だけでなく、不動産コンサルタントや建築士とチームで設計・実行をサポートしてもらう体制が、失敗のない対策につながります。 なお、それぞれの専門家を自分で探して相談する方法もありますが、内容をそれぞれに伝えなければならず手間も時間も段違いにかかります。
客観的な選択肢提示と、家族間の合意形成
自分では気づけない「第三の選択肢」が出てくるのも、コンサルタントならでは。
また、家族間で温度差がある場合も、中立的な立場の専門家が調整役として入ることで話し合いがスムーズに進むことがあります。
不動産の相続対策は「誰かの成功パターン」ではなく、「自分の家族に合った計画」が必要です。
専門家と一緒に考えることで、制度・感情・お金のすべてを整理しながら、将来に安心を残す準備ができるのです。
「何から始めればよいかわからない」という方でも大丈夫です。ご家族に合った相続と不動産の活用方法を、私たちが一緒に考えます。
不動産活用による相続税対策は、地価の高い東京23区において非常に有効な手段です。特に世田谷・目黒といった高評価エリアでは、賃貸経営や法人化による評価減が大きな節税効果を生み出します。
重要なのは、節税そのものが目的ではなく、"家族にとって最適な形"を考えること。
専門家と相談しながら、早めに準備を始めることをおすすめします。


